農楽里(のらり)職員行動指針BEHAVIORAL GUIDELINES

この行動規範は、農楽里職員倫理綱領に定めた理念や倫理観を基に、利用者一人ひとりの尊厳や意志決定を尊重し、利用者が安全・安心で快適な生活が送れるよう職員が共通認識をもって、専門的役割・使命を日々の業務の中で遂行するための指針として、以下の職員行動指針を定め、私たちは実践します。

人権の擁護

➀同年代の市民と同じ権利をもつ主権者として接するとともに、利用者にもこうした行動を求めていきます。

  • 常に利用者、家族との連携を図るとともに相談や意見を述べやすい環境を整備すること。
  • 利用者に対する命令的、威圧的な言葉遣いや態度を慎み、常に対等な立場で、利用者の目線に立った対応を心がけること。
  • 利用者が障害の態様等に関わりなく、地域社会の一員としてあらゆる体験の機会を得られ、市民生活が送れるよう支援すること。
  • 利用者に呼び捨て、ニックネームなどは使わず、「さん」付け呼称を徹底すること。

➁職員を「先生」と呼ばせること、また、職員間で「先生」と呼び合うことは慎みます。

③利用者が不安や恐怖・疎外感を抱かずに、安心してサービスを利用できるように努めます。

  • 利用者に対し、性別、思想、信条、宗教上の理由による差別的対応は絶対にしないこと。
  • 利用者に対し、暴力、体罰、拘束、放置などによる虐待は絶対に行わないこと。
  • 利用者を見下したり、または子ども扱いするような態度をとらないこと。
  • 利用者の身体上または行動上の特徴について、からかったり、まねしたりしないこと。

心身の安全と健康の保持

➀食事、入浴、排泄など日常のADLケアの提供にあたっては、決められた手順に則って行うとともに、常に利用者の安全や快適性に配慮します。

➁利用者の生活環境の整備を推進し、事故防止と安全確保に努めます。

③常にきめ細かなケアを心がけるとともに、日頃から医療機関との密接な連携を図り、利用者の健康保持に努めます。

④利用者の薬の服用については、服薬内容を十分確認し、適切に行います。

利用者の立場に立った支援

➀利用者が意志決定をできる機会や場面を多く設定し、自己決定・自己実現に向けた支援を行います。

➁すべてのサービスは、個別支援計画に基づいて行います。また、個別支援計画の実施にあたっては、本人及び家族に十分な説明を行い、相互理解と同意のもとで実施します。

③個別支援計画は、職員全体の統一した考えのもとに行います。

④傾聴を心がけて利用者の思いを真摯に受け止め、安心感と希望を持てるよう支援します。

⑤施設運営、サービス内容等に関し、利用者や家族に定期的に報告・説明するとともに、意見・要望等を聴く機会を定期的に設け、利用者等の意見が反映されるようにします。

⑥将来を見据えた支援をします。(利用者の生きにくさの軽減、生きる力)

⑦利用者の個々の性格や生活のペースを尊重し、一方的な理由で行動を強要しません。

⑧利用者の長所やがんばりなどを積極的に認め、自立していこうとする力を支援します。

利用者の社会参加支援、そして地域の中の施設として

➀地域の各種イベントに参加し、作品販売等を通じた交流を図ります。

➁交通機関の利用をはじめ、公民館、図書館、スポーツセンターなど、地域の資源を利用する機会を多くもてるように支援するとともに、地域の文化・スポーツの催しに参加するなど、社会参加の機会を広げるように支援します。

③広報誌や施設行事などにおいて、農楽里の日常の取り組みなどを広く知ってもらえるようにします。

④地域社会の一員としての自覚をもち、関係機関、団体等との密接な連携のもと、地域福祉の向上に努めます。

⑤外来相談、電話相談等に積極的に応じ、地域住民の福祉ニーズに応えるよう努めます。

⑥事業所が常に利用者の保護者・家族をはじめ、関係機関や地域住民から支えられていることを認識し、開かれた施設づくりに努めます。

プライバシーの保護

➀利用者及び家族等に関する、業務上知り得た個人情報等は決して外部には漏らしません。またその義務は、その職を退いた後も同様とします。

➁利用者のプライバシーに関する話を、他の利用者の前でしません。

③利用者の写真、名前や制作作品などを掲載・展示する場合は、本人及び家族の了承を得ます。

④利用者の個人情報の保護・管理を徹底し、特にパソコン等から個人情報が流失しないよう、その取り扱いに細心の注意を払います。

グループダイナミックス

グルーダイナミックスを共有し、「対等な関係をたもちつつ、ともに助けあい、支え合い」を旨とします。

支援の専門職であるために

➀常に向上心をもち、福祉サービス従事者としての自己啓発・自己研さんに努め、質の高いサービスに努めます。

➁この行動規範をより実践的な規範とするために、たえず自己点検と相互点検を怠らず、必要に応じて、会議等においてその実践状況を相互に確認するものとします。

③利用者から学ぶという謙虚さを大切にします。

④状況を的確に判断できる観察力を磨きます。

⑤苦情を受け付けるための窓口を設置し、利用者や家族からの苦情に対して誠意をもって適切に対応します。また、第三者委員の活用などにより、是正・改善する仕組みを確立します。

⑥利用者に対する支援の内容について、絶えず自己点検、相互点検に努めます

⑦家族との接し方

  • 家族と、利用者のことについて話す場合は、障害のある人を育ててこられた親や家族の立場を理解し、利用者の人権保障をともに進めるものとして、家族との合意を探っていきます。
  • 家族としっかりコミュニケーションをとり、信頼関係の構築に心がけます。要望や指摘については真摯に受け止め、改善点等検討結果を速やかに報告します。

⑧問題解決についての職員の基本的姿勢

  • 問題となっていることの理由、原因、要因などの核心を常に見極めるよう努力し、その問題解決の見通しを明らかにする分析力をもちます。
  • 問題がおきた場合、速やかにかつ正確に理事長、施設長、サービス管理責任者に報告し、事業所の職員が連携し、組織として事態に対応します。問題をあいまいにしたりごまかす行動は、問題を複雑にしたり、職員の信頼関係をも失墜させることを肝に銘じます。
  • 問題解決の方法については合意を得るために、相手(利用者・家族)とよく協議し、合意したことについて職員は責任をもちます。
  • 職員に非がある場合は素直に謝罪し、改善に向けての努力を行います。

⑨利用者の不安定時の職員の基本的な態度

  • 不安定行動に至りそうな利用者状況がある場合は、不安定行動に至らないような配慮をするするとともに見守ります。
  • 利用者が不安定な時には、威圧的な態度で接することをせず、利用者をできるだけ受容し、支えるという心理的な関係をもつようにし、相手の心に届く対応をしていきます。
  • 不安要因がはっきりしている場合は、速やかに取り除く(あるいは遠ざける)などして、安心できる条件を整えます。
  • 不安定行動(自傷・他傷行為)に至る徴候が見られたら、周りにいる利用者を遠ざけ、目を離さず見守ります。
  • 職員の位置を相手より一段低い位置に置いて、対応することを基本とします。
  • 不安定行動に至ってしまった場合、基本的に複数の職員で対応します。
  • 不安定さもまた、利用者の声として正面から受け止める姿勢をもちます。(予防として)
  • 日ごろから利用者一人ひとりにとっての不安定な要因をしっかり把握し、不安に陥らせない配慮をしておくことを心がけます。
  • 職員の連携がスムーズにできるよう日ごろから利用者に対する共通理解を図ります。
  • 不安定を一緒に乗り越えられるキーパーソンとなれるように信頼関係づくりに努めます。
  • 家庭との連携を大切にし、常に体調を把握できるようにします。